「学習の三本柱」の3番目にあった「解法」について教えて!!
まず、大前提として、国語の「問題」というのは、出題者と解答者(受験者)とのコミュニケーションである、ということを意識しよう。
これはどの教科でも大切なことだね。試験で思うように点を取れない人は、とにかくここが分かっていない。問題の作り手がいて、問題と答えを用意した上で、解答者の学力を試そうとしている。解答者は、何も素晴らしい答えを作り上げる必要なんてないんだよ。出題者が用意しているであろう答えを予想して答えてあげるだけで良い。
例えば、小説の問題を解くときに、誰に感情移入すべきだと思うかな?
主人公?作者?・・・。と見せかけて、今の話の流れだと・・・
そう、その問題の出題者ということになるね。
大学入試の小説の問題を、当の作家が解いてみたところ、全然及第点に届かなかったって話があるね。もし、解答者が作家の考えを完全にトレースして読めて、答えを書けていたとしても、それで良い点数を取れるとは限らないんだよ。
そもそも、よく考えてみれば、
といった順に並んでいるわけだから、登場人物の感情を読み取るなんていうのはとっても難しいと言える。そんな苦労はしなくていいから、出題者が何を問おうとしているのかをしっかりと考えるようにしよう。出題者の考えをトレース出来れば、間違いなく良い点が取れるようになるよ。
じゃあ出題者が何を考えているのか、を具体的に教えていくね。
ただ、一つ注意しておいて欲しいのは、ここで教えるのはあくまで理想的な出題者の話。だから、作問の下手くそな出題者の場合だと、こういった考え方そのものを知らなかったりする可能性はあるから気をつけて。とはいえ、難関大と言えるような大学をはじめ、きちんとしたところの作ったテストは、大抵同じ理論で作られているから安心してね。
さて、あらためて出題者が何を考えているか、というと、もちろん一番は良い問題を作りたい、ということだよね。
そして、どんな問題が良い問題か、というと、きちんと国語力を計ることができるかどうかに尽きる。妙に難しい問題を出す先生とかいるかもしれないけど、解答者の習熟度をきちんと測れてないんだったら、全然良い問題じゃないね。その先生の自己満足と言えるかな。
次に、そこから派生してくるんだけど、小問毎にきちんと違う内容を問えているか、というのも大切になってくる。実は、問題にできる箇所、というのはなかなか少ないものなんだ。4000字くらいの文章の中で、4~5つあったらいいくらい。同じ事の繰り返しばかりの文章なんかだと、1メッセージで4000字書いてたりするからね。この「問題にできる箇所」を軸に、重複しないように問題を作っていくんだよ。そうしないと、例えば問3を解けた解答者はみんな問4も解ける、なんてことになってしまうからね。それじゃ解答者の実力がきちんと測れないでしょ!?
そして、これが一番大切な点なんだけど、答えが一つに絞れるかどうか、に出題者はめちゃくちゃ気を使っているよ。答えが一つに絞れないと、問題の形にすらなっていないということになるんだから、当然の話だよね。
よく「現代文の問題なんて答えがどうとでもなるから勉強する意味がない」なんて言ってる人がいるけど、全く分かってないよね。放っておいたらそうなりかねない「現代文」の問題の答えを一義に絞るために、出題者は必死に苦労をしているんだよ。
選択問題は「答えはこれにしかならない」と理由が説明できるようにしてから出題するし、記述問題は誰もが納得するような模範解答をきちんと作ってから、要素毎に分類して採点基準を用意する。現代文のテストの作問は、他の科目の数倍は労力がかかっているんじゃないかな。
でも、もし、入試なんかで出題した後で、「これも答えじゃないか?」って言われてきちんと答えられなかったら、とてもひどいことになってしまうよね。だから、ものすごく繊細に、どんな解答が多いかなんかもシミュレーションしながら作問しているんだよ。
最後に、補足的なことを一つ。リード文は非常に大切だということを覚えておいて。
出題者の立場から言うと、リード文っていうのは極力書きたくないんだよ。公になるような問題(入試問題や全国模試、問題集など)なら特に、作家さんから後になって「あのリード文は解釈が違う」なんて言われかねないからね。じゃあなぜ書くのか、と言えば、答えは一つ。書いておかないと解けないから。
なのに、本文の前にちょろっとあるからといって、リード文を読まないで解こうとする生徒は多いんだよね。本当にもったいない。でも、それも、出題者とコミュニケーションしている、という認識が欠けているからなんだろうね。
まとめるよ。
○出題者とのコミュニケーションだという意識を持つことが大事。
○出題者は
・生徒の習熟度の弁別がつく問題を作りたい
・だから小問毎に違う内容を問いたい
・突っ込みが怖いから、答えが一つに絞れるように問題を作る
・リード文は仕方がない時に入れてるものだから、あったらきちんと読むべき
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